美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
「━━━━威くん!神威、くん!」
「……っんぁ!?」

「どうしたの!?体調悪い?」

「あ、ごめん。
回想を繰り広げてた!」
「回想?」

「うん、昨日の季帆ちゃんの可愛い姿を!」
「なっ…////」

「フフ…ほんと、可愛い~」


それから二人は、朝食を作り始めた。
(………といっても、殆ど神威が調理)

「神威くん」
「んー?」
季帆は、隣で手伝いながら声をかける。

「昨日話したこと、考えてくれた?」

「………」
神威の動きが止まる。

「神威くん?」

「ダメだよ」

「え……」

「ダメ」

「どうし━━━━━」
神威の顔が、グッと近づく。
「ダメ」

「で、でも、ここの家賃や生活費も全部、神威くん持ちでしょ?
だからせめて━━━━━」
「季帆ちゃんはさぁー!!」

「え?」
「僕を嫉妬で狂わせたいの?」

「え?え?私は、アルバイトがしたいって話をしただけで………」
「それがダメなの」

「神威くんも、アルバイトしたいの?」

「違うよ。
バイト先に男いるでしょ?
季帆ちゃん可愛いから、ちょっかいかけられる!」

「それはないよ!断言できる!」

「どうしてそう言いきれるの?」

「さっきも言ったでしょ?
可愛いなんて言われたことないし、私、神威くんに出逢うまで恋愛なんて皆無だったんだよ?
そんな女が、声かけられるわけないでしょ?」

「とにかく!!ダメなものはダメ!!
僕が一緒にバイトできるならいいけど、僕は禁止されてるから。
季帆ちゃんは、僕の季帆ちゃんだもん!
だから、ずっと傍にいてよ!
僕から離れないでよ!」

神威は、財閥の御曹司。
二年後には、西洞院の会社で働くことが決まっている。
その為、西洞院家からアルバイトは禁止されているのだ。

「わかった」
「うん。もうこの話はおしまい!」

朝食を済ませ準備をして、二人は大学に向かう。
行きの電車内。
乗客の視線を浴びる神威と季帆。

イケメンという言葉では表しきれない程の美しい容姿を持つ、神威。
その神威が、見るからに地味な女と並んで座り、腰を抱いて愛おしそうに見ている。

今に、キスでもしそうな程だ。

注目を浴びない方がおかしい。

その為、どうしても心ない言葉が季帆に突き刺さる。
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