美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
荒れる海
「は?
“みんなで”?」


「そ!
俺と大成と若那(わかな)(大成の彼女)と、神威と十河ちゃん」

季節は夏に入り、夏休みが近づいてきた頃。
神威と季帆は、雑誌を並んで見ながら夏休みのデートの相談をしていた。

そこに昌磨と大成が来て、声をかけてきたのだ。

「やだ」

神威が即答し、季帆は心の中で(みんなでかぁ、行きたいな!)と思っていた。

「なんで!?」
「季帆ちゃんと“二人で”行きたいから!」

「いいじゃん!
若那も、十河ちゃんと遊びたいって言ってるし」

大成の言葉に、季帆は目を輝かせていた。
(そんな風に言ってくれてるんだ!)

「季帆ちゃんだってやだよね?」
「え?あ…」

「行きたそうじゃん!十河ちゃん」
「え…!?」
(ば、バレた…////)

「ほんとだ!顔にかいてある(笑)」

昌磨と大成が、クスクス笑っている。

「季帆ちゃん、行きたい?」
「で、できれば…////
私、グループで遊びに行ったことなくて…」

「…………わかった。季帆ちゃんが行きたいってなら、いいよ」
「いいの?」

「うん!」
「ありがとう!」
微笑む神威に、季帆も嬉しそうに笑った。


後日季帆は、若那と水着を買いに出かけていた。
「季帆ちゃん、それ…地味よ……」
「そうかな?
でも、私にはこんなやつが……」

「はぁ……季帆ちゃんって、いつもそんなやつばっか選んでんの?」
「え?あ、うん…」

「だから“地味”って言われるの!!」
「そう…だよね…(笑)」

「私が選んであげる!
例えば………これ…とか!!」
「えーー!!」

「これに、このラッシュガードを着れば!
…………ほら!可愛いでしょ?
はい!決まり!」
あれよあれよという間に若那が決めてしまい、季帆はされるがまま購入したのだった。


「━━━━━季帆ちゃん、どんな水着にしたの?」
その日帰ってきた季帆に、窺うように言った神威。
少し、心配そうな顔をしていた。

「若那ちゃんに選んでもらったよ!」
「だから、どんな水着?」

「可愛いよ!」
「着て見せて?」

「え?
…………い、今…!?」
「うん。今」

「今度の楽しみにしてて?」

「やだ。
見せて?
若那が選んだって時点で、ヤバいもん」


しかし“恥ずかしいから”との事で、頑なに見せないまま海水浴の日を迎えた。
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