美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
「ねぇ、遊ぼ━━━━━」
季帆に触れようとした男が突如消えた。

季帆「え?」

正確には、神威によって後ろから後頭部を掴まれ引き剥がされたから。
神威「僕の季帆ちゃんに、気安く触らないでよ」

「いてぇーよ!!頭、ハゲる!!離せ!!」

神威は男の髪の毛を持ったまま、砂浜に向かって投げた。
そして睨み付ける。

季帆「か、神威…く…」
神威「あ、季帆ちゃん!!大丈夫!?」

季帆「うん…良かった…来てくれて……」
神威「ごめんね、遅くなって…」
季帆は、首を横に振る。

昌磨「行こうぜ!」

そして、神威達は海に向かう。
神威達を見届けて、乱磨はナンパ男の一人に耳打ちした。

乱磨「もう、やめろよ?
これ……見て?」
乱磨がラッシュガードの前を開けて、胸元のタトゥーを見せた。

「あ……この、タトゥー……」
乱磨「うん。わかるよな?」

男が何度も首を縦に振る。

乱磨「ちなみに、さっきお前の頭を掴んだ奴は“黒い神様”だから」

「━━━━━!!!!!?」

乱磨「まぁ、そうゆうことだから~!」
そう言って、手をヒラヒラ振り神威達の後を追ったのだった。


神威「………」
季帆「………」

波打ち際に並んで座っている、神威と季帆。
しっかり手を握り合っている。
二人の下半身にだけ、冷たい海の水が打ち寄せていた。

季帆「…………神威くん、泳がない?」
神威「やだ、ここにいる」

季帆「じゃあ、私泳いでくるね?」
神威「ダメだよ。ここにいて」

全くの無表情の神威。
季帆は、不安になる。

季帆(怒って…るのかな…?
何か怒らせることしたかな?
…………あ、さっきのちゃんと振り払えなかったから?とか?)

乱磨「二人、何やってんの?」

そこに乱磨が来て、声をかけてきた。

神威「ゆっくりしてるの」

乱磨「泳がねぇの?
季帆は?
俺と一緒に泳がない?」
季帆の反対の手を握り言う。

季帆「あ、でも……」
さりげなく、神威を見る。

神威「乱磨」
重く、圧迫するような声。
神威は、季帆の手を掴んでいる乱磨の腕を掴んだ。

ただ名前を呼んだだけなのに、季帆は繋がれた手から凄まじい恐怖を感じていた。

乱磨「………」
神威「……季帆ちゃんの手…離してよ…」

乱磨「……嫌って言ったら?」
神威「腕、折る」

季帆「…………あ、あの!!」

そこで、季帆は声を張り上げた。
神威と乱磨が、同時に季帆を見る。

神威「季帆ちゃん?」
乱磨「季帆?」

季帆には、こんなに優しい。


季帆「しょ、勝負しない?三人で!」
< 24 / 42 >

この作品をシェア

pagetop