美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
「そこの二人って、カップルかな?」
「えーー!あり得なーい!」
「だよね…どう考えても、不つり合いだし……」

「でもよく隣にいれるよね~」
「恥ずかしくないのかな~(笑)」

季帆は、できる限り気にしないように窓の外に視線と意識を向けた。

季帆が窓から流れていく外の景色を、ボーッと見つめていると、隣から「ねぇ!!」と車内に通る声が響いた。

「え……神威…くん?」

神威は、悪口を言っていた女性達を睨み付けていた。

「え……わ、私?」
「え?な、何?」

「僕の彼女に、恨みでもあんの?」

びっくりする程に冷たく、重みのある声だった。
普段の神威の声じゃないみたいだ。

「え……」

「僕達、カップルだよ。
不つり合いだったら、付き合っちゃダメなの?
てか、つり合わないって何の権限があって言ってんの?
カップルなんだから、隣にいて当たり前じゃん。
恥ずかしいって、こそこそ人の悪口を言う君達の性格ブスの方がよっぽど恥ずかしいと思うけど?
逆に君達、恥ずかしくないの?」

声を荒らげることなく、淡々と突き刺すように言った神威。

そして季帆に微笑んだ。
「あ、季帆ちゃん、もうすぐ着くから扉の方に行こ?
ここにいると、なんか吐きそうだし!」

声も、いつもの甘く柔らかな声に戻っていた。


「━━━━━神威くん、ごめんね」
電車を降り、駅を出て大学まで手を繋ぎ歩いている二人。
季帆は神威を見上げて言った。

「どうして謝るの?」
「だって、私のせいで神威くんに嫌な思いさせたから」

「季帆ちゃんのせいじゃないでしょ?
誰がなんと言おうと、季帆ちゃんは“可愛い”
僕は、嘘言わないよ?
お世辞も嫌いだし」

神威は、いつになく真剣な眼差しで言った。


大学に着き、講義室に入って並んで座る。
そこでもやっぱり神威は、季帆を愛おしそうに見つめていた。

するとざわざわをざわめき出す講義室。
大学内でも美人と噂の女子学生が入ってきた。

大学内では、神威には彼女がお似合いだと言われている程の子だ。
しかし神威は季帆が、彼女にも社会人の恋人がいる。
盛り上がっているのは、周りの人間だけだ。

季帆も、彼女に見惚れていた。
(私が、あんな風に美人だったらなぁー)

ぽーっとして彼女を見ていると、何を勘違いしたのか神威が少し怒って言った。
「季帆ちゃん!誰を見てるの!?
まさか!あいつに惚れたの!!?」

「え?神威くん?」
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