美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
「こっち座って?」

男達の間に連れていかれる。
そして隣に座っていた男が季帆の顔を覗き込んだ。

「ん?これ……」
季帆のネックレスを見つけ、途端に震えだしたのだ。

「おい、ヤベーよこの女」
「は?」

「ヤベーんだよ!!」
「は?お前、何言ってんの?」

(ど、どうしたんだろ?)
季帆も、訳がわからない。
つい先程まで季帆がブルブル震えていたのに、今は男の方が何倍も怯えている。

「お前…“黒い神様”の女?」

「え?あ…は、はい」

「え……」
「く、黒い神様…って…」
「“あの”?」
「嘘だろ……?」

「ヤベーよ!!」
「俺達、殺され━━━━━━」
ガァァン!!!
と、barのドアが乱暴に開いた。

そこには、神威と乱磨がいた。

「か、神威く……乱磨さ…」

「やっと、見つけた」
「季帆、もう大丈夫だからな!」

ゆっくり神威と乱磨が、季帆の方に歩いてくる。
季帆や男達は“誰一人”動けない。

黒い“闇”が迫ってくるような感覚で、恐ろしいのだ。

「そこ、退け」
神威が静かに言う。

怯えながら、男達が季帆から離れる。
神威は、季帆の足元に跪くと季帆を包み込むように抱き締めた。

神威は、震えていた━━━━━━

「季帆ちゃ…良かっ…た……」
声も、弱々しく震えていた。
その声に季帆はあっという間に涙が溢れ、神威にしがみつくように抱きついた。

「神威くん、神威くん、神威くん!
怖かっ…た、怖かったよぉ……」
「うん、うん。
ごめん!遅くなって、ごめんね!」

「神威」
「うん」
乱磨が神威に声かけると、頷き季帆に向き直った。

「季帆ちゃん、ここを出て待っててくれる?
外に昌磨と大成がいるから」

「え?神威くんも、一緒に………」
神威は微笑み、ゆっくり首を横に振った。

「僕達の世界には、ルールがある」
「え?」

「「仲間を傷つけたら、倍にして返す」」
神威と乱磨の声が綺麗にハモった。

「しかも、季帆ちゃんは僕の大切な恋人。
倍どころか、十倍…百倍にして返す」

「季帆は“黒い神様”の女。
だから俺は、この辺の奴等には通達してたはずだよ?
黒いダイヤの“K”のイニシャルのネックレスをしている女には、手を出すなって!」

「このネックレスはね。
僕が特注で作らせた、世界に“二つしかない”ネックレスなの。
僕と季帆ちゃんしかつけてない、ネックレス」


「「だから、もう……終わりだ………!」」

また、神威と乱磨の声が綺麗にハモった。
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