美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
結婚しよ?
寒さも本格的になってきた12月。

まだ暗い、早朝。
もぞもぞと起きた季帆。

「う…なんか、気持ちが悪い……」
吐き気がして、トイレに駆け込んだ。
少しだけ嘔吐して、ゆっくりトイレを出た。

「なんなんだろ……」
普段、風邪をあまり引かない季帆。
身体の強さは自信がある。

十何年か振りに風邪かと思ったが、なんだか違うような気がする。

ふと……壁掛けカレンダーが目に入った。

「…………あれ?」
指折り数える。

「嘘……生理…きてない………」

まさか、
まさか、
…………まさか…


「━━━━━━はい!」
「あ、明星ちゃん。ありがとう」

その日の午後。
神威の講義中、季帆は明星から“妊娠検査薬”を受け取っていた。

「普通に言えば?
生理がきてないって」
「でも、一応検査してみてから……
かといって、買いに行くには神威くんに言わなきゃいけなくなるし……」

色んなことがあり、最近の神威はかなり過保護だ。

季帆が、一人で外に出ることを嫌う。
こっそりドラッグストアに行こうと考えたが、勝手に出ると神威にバレるのだ。
(神威が、季帆のスマホにアプリを仕込んだから)

それで明星に頼み、買ってきてもらったのだ。

季帆は、トイレに向かい検査をした。


「━━━━━━どうだっ……あ、その顔は“陽性”ね!
早めに、西洞院くんに言って病院行かなきゃだよ?」
戻ってきた季帆の表情でわかってしまう、明星。
ゆっくり季帆の頭を撫でて言ったのだった。



「━━━━━季帆ちゃん、お待たせ!帰ろ?」
「うん…」
それから神威が迎えに来て、二人は手を繋ぎ大学を出た。

「神威くん」
「ん?」

「帰ったら、お話があるの」

「え……な、なんか、怖いな……
わかった」
いつになく、真剣な季帆の表情に構える神威。

繋いだ手を、更に握りしめた。


「━━━━━で、話って?
「うん…」

「神威くん、私……」

「うん」

「………娠したみたいなの」
震えてかすれた声が出た。

「ん?何?もう一回言って?」

「あのね」
「うん」



「…………に、妊娠、したみたいなの…」
今度は、はっきり言った季帆だった。
< 33 / 42 >

この作品をシェア

pagetop