美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
「え………」
フリーズする、神威。

「まだ、検査薬で調べただけだけど、はっきり印が出たからたぶん……間違いないと思うんだけど……」

「ほんと?
あ、いや、季帆ちゃんがそんな嘘つくわけないんだけど……
ほんとに?」

季帆が頷く。

「僕、パパになるの?
フフ…嘘~!」
微笑み言った、神威。

「喜んでくれるの?」

「当たり前でしょ?
僕は、季帆ちゃんと将来結婚したいと思ってるんだよ?
季帆ちゃんとの子ども、嬉しいに決まってるよ!」

「じゃあ、私……産んでもいいのかな?」

「当たり前~!
凄ーい!
あ、お腹、触っていい?」
季帆の腹をゆっくりさする。

「ここに、僕と季帆ちゃんの子どもがいるんだ……!」
そう言って、愛おしそうに季帆を抱き寄せた。

「季帆ちゃん」
「ん?」

そして、季帆に向き直った。



「結婚、しよ?」



満面の笑みで言った、神威。
季帆は、大きく頷き「はい!」と言った。


「これから、忙しくなるね!
とりあえず大学は休学して、季帆ちゃんはここでゆっくり過ごしてね!
あ、まずは病院行かなきゃ!
婚姻届も出さなきゃだし、季帆ちゃんの両親にも挨拶行かなきゃ!
あ、でも……僕の両親にも言わなきゃだ……
やだなぁー
あいつ等に会うの━━━━━」

「反対、されるかな?」

「あーそれは、大丈夫だよ!」



後日。
病院へ行き、その足で神威の実家に向かった。

「━━━━━わかった。
俺達は構わない。
神威が、ちゃんと会社を継ぐなら」
神威の父親の言葉。

びっくりする程に、淡々と言われた神威と季帆。

とても冷ややかな空間だった。

金銭的なこと等、全部好きにしろと言われた二人。
でもそこに“愛情”は微塵も感じなかった。

まるで、神威が西洞院の道具のような言い方だった。


「━━━━━ごめんね。気分悪くなったよね?」
「ううん。大丈夫だよ!
…………ただ…乱磨さんの言ってたことが、わかったってゆうか……」

“親に利用された”
確かにそんな感じだ。

きっと………神威が西洞院を継ぎ、このままを維持してくれさえすれば“それでいい”のだろう。

神威が何をしても、何も感じないのだろう。

季帆は、ゆっくり神威の頭を撫でた。
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