美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
番外編①・神威くんの闇の原因
籍を入れて、半年━━━━━━

腹の子もかなり大きくなり、あと一ヶ月もすれば臨月に入る。


神威は、本当に理想的な旦那様だ。


家事は殆どこなし、大学に行く以外は決して季帆から離れない。
そして、季帆の身の回りのことまで行う。

「季帆ちゃん、また腰さすろうか?」
「あ、いいかな?
ありがとう!」

「うん!
なんだか、辛そう……」
「うーん…最近、よくお腹が張るんだよね……
でもソファに座って休憩すると、よくなるから大丈夫なんだけど……」

「そっか。
僕、全然辛さとかわかんないから、どうしてほしいか教えてね!
勉強はしてるんだけど、ネットや雑誌じゃわからないこともあるし」

「うん!ありがとう!」
季帆が微笑むと、神威と微笑んだ。


(ほんと、私にもったいないくらいの旦那さんだな!)



しかし季帆には、気がかりがある━━━━━

神威の両親のことだ。


びっくりする程に、神威や季帆に興味がない。
この半年、一度も会っていない。

季帆の両親は、季帆の体調や子どもの状態を逐一聞いてくる。
自分の娘だからというのもあるからだろうが、季帆の両親は神威のことも心配し“何かあれば、いつでも協力する”とよく神威に声をかけている。

神威も、季帆の両親の家にはよく連れていってくれる。
が、神威の実家は“結婚の挨拶”以来、行ってない。

神威にもうすぐ臨月だから、忙しくなる前に食事でも行きたいと告げると“必要ない”の一点張りなのだ。

しかも両親の話をすると、神威は雰囲気を真っ黒に染めて不機嫌になるのだ。



季帆はおもいきって、神威が大学に行っている午後“一人で”神威の実家を訪れた。

「こんにちは!」

父親はいなくて、季帆は母親と話をした。
しかし母親の言葉に、季帆は絶句する。


「どうしたの?
お金?
ちゃんと毎月、十分なお金を神威には渡してるはずだけど?」


「え………」
最初、何を言われたのかわからなかった季帆。
言葉の意味を理解するのに、時間を要した。

季帆は、仮にも嫁だ。
しかも妊娠中。

まず、身体を気遣うというのはないのだろうか?

結婚の報告と挨拶に行った時もそうだったが、両親から出てきた言葉は“金”なのだ。


季帆は、涙が伝っていた。
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