美しきハイスペ御曹司は、今日も彼女を溺愛する
“たまたま”女子学生の隣にいた男子学生を見て言っている神威。
しかし季帆は、彼女のことを言っていると思っている。

「うん。綺麗だなって!
毎回、見惚れちゃうよ/////」

「は?なんで!!?
季帆ちゃんには、僕がいるでしょ!!?」

「え?」
(どうゆう意味だろ?)
季帆は、意味がわからない。

「お願い…僕のことだけ見て?」
「え?え?神威くん、どうしたの?」
すがるような神威の言葉に、季帆は動揺する。

「あんな男のどこがいいの?」

「は?男?」

「男」

「男の子見てないよ」

「は?今見てたでしょ!?」

「見てないよ。
見てたのは、あの子だよ」
女子学生を指さした。

「は?男じゃないの?」
「うん」

「なーんだ!てっきり、その横にいた奴を見てたのかと」
ホッとしたように、微笑んだ。


講義中神威は、隣の季帆を見つめていた。

(可愛い/////)
真剣に講師の話を聞き、メモを取っている季帆。
その姿を神威は、惚れ惚れとして見ていた。



「━━━━━ほんと、不思議なんだよなぁー」
2時限の講義は、神威は取っていない為学食で友人二人とゆっくりしていた。

その友人の一人、昌磨(しょうま)が神威を見ながら言った。
「は?」

「十河ちゃんの、いったいどの辺りに惚れたの?」
「は?昌磨、喧嘩売ってんの?」

「ちょっ…おいおい…そんな怒んなって!
十河ちゃん、地味だろ?
もちろん、俺はつり合うとか合わないとか言うつもりねぇよ?
ただ、あんな地味な子には目もくれないと思ってたから。
目立つ子とかなら、わかるが……」

睨み付ける神威に、昌磨は必死に弁解する。

「20年間生きてきて、初めて出逢えた子だったから」

「え?」
「“運命”とか?(笑)」
もう一人の友人、大成(たいせい)が少し笑って言った。

「そうかも?
季帆ちゃん、よく周りを見ててさ。
……………知ってた?
季帆ちゃん、朝の電車僕達と同じのに乗ってたの」

「「知らねぇ…」」

「僕も最初は同じ電車って知らなかったんだけど、入学してすぐに電車で妊婦が倒れて、電車が止まったことがあったでしょ?」

「あぁ!」
「あったな」

「あれを介抱したの、季帆ちゃんだよ」

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