謎多き旦那様の嘘、または秘密
私が奥さんならば、私が作るべきなのでは。
「オムライスか、分かった」
「いえ、あの、私が」
「もうすぐ医者の来る時間だ」
旦那様が時計を見上げた。オムライスの話はそれで流れてしまった。
訪問医のお姉さんはとても優しく、そして若く、仕事道具の入った鞄だけが重そうだった。
「夜はちゃんと眠れてますか?」
「はい。眠りすぎるくらいで……なんか太ったような」
「いやー標準体重まで全然あるからもうちょっと太った方が良いですね。ね?」
確認の先は旦那様だ。
「ああ」
「ほら、言ってるし。もっと食べましょう、ご飯も通常食に戻してね」