謎多き旦那様の嘘、または秘密
男性は私をベッドまで戻して、横にあった椅子に座った。ちょうど私と目線が同じになる。
ここは病院、でもなさそう。
自分の腕には包帯が巻かれていた。毛布から出た足にはギプスが巻かれ、怪我が多い。
そして彼は医師、でもなさそう。
白衣も着ていなければ、聴診器も持っていない。黒いシャツにグレーのスラックスを履いている。
「どこか痛いのか?」
尋ねられて、首を振る。痛い箇所は特に無かった。腕と足が動き辛いくらいだ。
「水を持ってくる。絶対に立つな」
そう言われても、立てなかった。