謎多き旦那様の嘘、または秘密
食べる時に箸を持つこと、服を着ること、歯を磨く習慣、お風呂に入ること、体が覚えていて一人で出来る。
しかし、料理に関しては別だ。
包丁の持ち方こうだっけ、と不安しか無かった。
「君は料理が壊滅的にできない。きっと」
旦那様に断言された後、卵を渡される。
これなら割って良し、ということらしい。立ち上がり、キッチンに用意したボウルへと向かう。
えい、と割れた卵。本当に割れた。ぐちゃぐちゃに……。
「ひよこさん、ごめんなさい……」
「もう台所に立つな、と。ひよこが言っている」
「いつから黄身の通訳になったんです?」
「白身が激怒する前に早く手を洗え」