婚約破棄されたい公爵令息の心の声は、とても優しい人でした
10.王太子の婚約破棄
王太子殿下は凛とした姿で会場の中央へとやって来ると、一人の女性の前で立ち止まった。
その女性は王太子殿下とその隣に寄り添う女性に視線を送り、何かを察する様に口を開いた
「カロル様。これは一体どういう事か、説明していただけますか?」
その口ぶりから、彼女が王太子殿下の婚約者なのだろうか。
彼女は特に動じる様子も無く、表情を引きしめたまま皇太子殿下と真っ直ぐ向かい合っている。
そんな彼女を王太子殿下はキッと睨み付け、その顔に向かって人差し指を突き立てた。
「エミリア。君との婚約は破棄させてもらう!」
突然の婚約破棄宣言に、会場内は一斉にどよめきが起こる。
そんな事はお構いなしにと、王太子殿下は言葉を続けた。
「君は日頃から同じ学園の気に入らない女子生徒に数々の嫌がらせをしていたと聞いている。君がそんな酷い人だったとはガッカリしたよ……。君みたいな野蛮な女性をこの国の王妃にする訳にはいかない」
「……そのような事をした覚えはございませんが」
「しらを切っても無駄だ。目撃証言もある。なにより、彼女が勇気を持って僕に教えてくれたよ。さぁ、クリスティーヌ。僕がそばに居るから何も恐れる事はない。君は堂々と僕の隣に居てくれればいいんだ」
クリスティーヌと呼ばれた女性は、不安そうに王太子殿下をジッと見つめると、息を合わせるかのように頷き合う。
そんな二人の姿を見てエミリア様は首を傾げる。
その女性は王太子殿下とその隣に寄り添う女性に視線を送り、何かを察する様に口を開いた
「カロル様。これは一体どういう事か、説明していただけますか?」
その口ぶりから、彼女が王太子殿下の婚約者なのだろうか。
彼女は特に動じる様子も無く、表情を引きしめたまま皇太子殿下と真っ直ぐ向かい合っている。
そんな彼女を王太子殿下はキッと睨み付け、その顔に向かって人差し指を突き立てた。
「エミリア。君との婚約は破棄させてもらう!」
突然の婚約破棄宣言に、会場内は一斉にどよめきが起こる。
そんな事はお構いなしにと、王太子殿下は言葉を続けた。
「君は日頃から同じ学園の気に入らない女子生徒に数々の嫌がらせをしていたと聞いている。君がそんな酷い人だったとはガッカリしたよ……。君みたいな野蛮な女性をこの国の王妃にする訳にはいかない」
「……そのような事をした覚えはございませんが」
「しらを切っても無駄だ。目撃証言もある。なにより、彼女が勇気を持って僕に教えてくれたよ。さぁ、クリスティーヌ。僕がそばに居るから何も恐れる事はない。君は堂々と僕の隣に居てくれればいいんだ」
クリスティーヌと呼ばれた女性は、不安そうに王太子殿下をジッと見つめると、息を合わせるかのように頷き合う。
そんな二人の姿を見てエミリア様は首を傾げる。