婚約破棄されたい公爵令息の心の声は、とても優しい人でした
03.心の声が聞こえてる?
そして迎えた当日、私はお父様とお姉様と並んで屋敷の前に立ち、緊張しながら二人を出迎えた。
馬車から降りてきたヴィンセント様は、今までに見た事がない程の金髪碧眼美男子。
少し憂いを帯びた表情がまた、色気と魅力を醸し出していた。
確かに令嬢達が夢中になるのは頷ける。男性の事に疎い私でさえも、思わず目を奪われた。
チラリと、横目で隣りのお姉様を伺うと、目にハートマークを浮かべ(たように見えた)、口を開けたままポーっと見惚れていたので、その口の端から垂れ落ちそうなヨダレを、ハンカチで拭いて差し上げた。
恐らくお姉様の脳内では、すでに彼と結婚式を挙げている映像が流れているのではないだろうか。
と、思考を巡らせていると、声が聞こえて来た。
(ふぅ……なかなか長い道のりだったな)
その声は、耳から聞いたというよりも、脳内に直接響いてくるような感覚だった。
それを裏付ける様に、その声に対して誰も反応を示していない。
低い男性の声で、色気のある声色。
もしかして私は声フェチなのかもしれない、という新しい自分を発見した。
(二人……? どちらかが俺の婚約者候補になるという事か)
その口ぶりから察するに、これはヴィンセント様の声だろうかと思うが、彼の口はさっきからずっと閉ざされたまま。
口を閉じたまま喋る事が出来る特技でもお持ちなのだろうか。
そんな風に思ってしまう私は、どうやら少し混乱しているらしい。
(だが、どちらでも関係ない。いつも通りやるだけだ)
いつも通り……?
馬車から降りてきたヴィンセント様は、今までに見た事がない程の金髪碧眼美男子。
少し憂いを帯びた表情がまた、色気と魅力を醸し出していた。
確かに令嬢達が夢中になるのは頷ける。男性の事に疎い私でさえも、思わず目を奪われた。
チラリと、横目で隣りのお姉様を伺うと、目にハートマークを浮かべ(たように見えた)、口を開けたままポーっと見惚れていたので、その口の端から垂れ落ちそうなヨダレを、ハンカチで拭いて差し上げた。
恐らくお姉様の脳内では、すでに彼と結婚式を挙げている映像が流れているのではないだろうか。
と、思考を巡らせていると、声が聞こえて来た。
(ふぅ……なかなか長い道のりだったな)
その声は、耳から聞いたというよりも、脳内に直接響いてくるような感覚だった。
それを裏付ける様に、その声に対して誰も反応を示していない。
低い男性の声で、色気のある声色。
もしかして私は声フェチなのかもしれない、という新しい自分を発見した。
(二人……? どちらかが俺の婚約者候補になるという事か)
その口ぶりから察するに、これはヴィンセント様の声だろうかと思うが、彼の口はさっきからずっと閉ざされたまま。
口を閉じたまま喋る事が出来る特技でもお持ちなのだろうか。
そんな風に思ってしまう私は、どうやら少し混乱しているらしい。
(だが、どちらでも関係ない。いつも通りやるだけだ)
いつも通り……?