災厄の魔女が死神の愛に溺れるとき
プロローグ
「おはよう……アドリアン」
ゆるやかなシーツの波間から、栗色の髪をしたルーナが、恥ずかしそうに顔を出す。
身体が気怠いのは昨夜も遅くまでアドリアンと起きていたからで、快楽に呑まれて意識を手放すまで、アドリアンはルーナを何度も攻め続けた。そうした末の気怠さは嫌いじゃなかった。
だって、幸せだから。
顔を出して室内を見回せばそのアドリアンの姿がない。返事もない。先に起きているのだろうと思い寝返りを打てば、アドリアンがいた。柔らかな笑みを浮かべていて、銀の瞳と目線が絡んだ。
「おはよう、愛しいルーナ。身体大丈夫か、無理させたか」
「ん……へいき」
頬に当てられた手のひらに顔をすり寄せる。温かな手のひらから伝わってくるアドリアンの、自分への愛情はとても心地が良い。
「それでは名残惜しいが、起きよう。お風呂に入るか? それとも朝ごはんを先にする?」
ルーナの額に口づけを落としてベッドから降りたアドリアンは、ガウンを羽織ってからルーナにも同じガウンを着せてくれた。
腰の紐をキュッと縛ると、ごく自然にルーナの膝裏と背中に腕が添えられ、体が浮いた。
足を怪我しているわけでもないのに、アドリアンはこうしてルーナを抱き上げて運ぶ。ベッドから浴室へ、浴室から居間へ、露台の長椅子へ、食堂へと、ルーナを大事に運んだ。
ゆるやかなシーツの波間から、栗色の髪をしたルーナが、恥ずかしそうに顔を出す。
身体が気怠いのは昨夜も遅くまでアドリアンと起きていたからで、快楽に呑まれて意識を手放すまで、アドリアンはルーナを何度も攻め続けた。そうした末の気怠さは嫌いじゃなかった。
だって、幸せだから。
顔を出して室内を見回せばそのアドリアンの姿がない。返事もない。先に起きているのだろうと思い寝返りを打てば、アドリアンがいた。柔らかな笑みを浮かべていて、銀の瞳と目線が絡んだ。
「おはよう、愛しいルーナ。身体大丈夫か、無理させたか」
「ん……へいき」
頬に当てられた手のひらに顔をすり寄せる。温かな手のひらから伝わってくるアドリアンの、自分への愛情はとても心地が良い。
「それでは名残惜しいが、起きよう。お風呂に入るか? それとも朝ごはんを先にする?」
ルーナの額に口づけを落としてベッドから降りたアドリアンは、ガウンを羽織ってからルーナにも同じガウンを着せてくれた。
腰の紐をキュッと縛ると、ごく自然にルーナの膝裏と背中に腕が添えられ、体が浮いた。
足を怪我しているわけでもないのに、アドリアンはこうしてルーナを抱き上げて運ぶ。ベッドから浴室へ、浴室から居間へ、露台の長椅子へ、食堂へと、ルーナを大事に運んだ。
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