あの夜は、弱っていたから

強引な慰め

淳史は、悲しみと怒りの混ざった表情だった。

「…淳史」

「なあ、玉砕したら俺が慰めてやるって言ったよな」

えっ…。

「いや、言ったけど…。私、遠慮するって…」

そこまで言いかけて、私の身体は、淳史によって引き寄せられて、強引なキスによって口を塞がれた。

淳史の胸板を叩いて、離して欲しい意図を伝えるけれど、角度を変えるキスを何度もして、一向に離す気配がない。

「…んっ」

口の中で淳史の舌が自由すぎるくらい動き回って、頭がくらくらする。

「…っ…何すんのよ」

やっと離れて、私は口元を手で覆って、淳史を睨む。

「黙って、俺に慰められてろよ」

淳史も、私のことを睨み返す。

「はあ?意味がわかんない。いやよ」

どれだけ、俺様なのだろう。

「何でだよ。なんで友達のままの方がいいんだよ」

まさか、何年も前の別れた時の理由を今聞き返されるとは思ってもみなくて、私は一瞬驚いて、言葉に詰まった。

「な、何でって…淳史と付き合っても、元カノになるのが分かりきってるからよ!」

あの時の言わなかった本心をぶつける。もう、ここまできたら言ってスッキリしてしまいたかった。

「あんたの何人もいる元カノのうちの1人になりたく無かったの!一緒にいたかったから、友達に戻ったのよ!」

もう喧嘩腰だったけれど、全てを吐き出した。


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