あの夜は、弱っていたから
かれこれ、大学を卒業してそれぞれ社会人として働きながらも、4年くらいは、金曜日によく淳史とはここで飲んでいることになる。

「…なあ、出会えるまで、運命の人探しって続くのか?」

ウォッカを飲みながら、淳史は半ば呆れながら私に質問する。

「…分かんないわ」

「ばあちゃんになっちまうかもよ?」

くくくっと揶揄う口調の淳史に、ちょっとだけムッとして、私はカクテルを一口飲んで口を開いた。

「流石に、そうなる前には手段変えるわよ。お見合いとか、マッチングアプリとか…」

「ふーん…」

「淳史こそ、長続きする恋人見つけないと、あっという間に独り身のじいちゃんよ」

さっきのお返しと言わんばかりの言葉をぶつけたけど、淳史はくくくっと笑って特に気にも留めていない。

「俺たちここで爺さん婆さんになっても酒飲んでんのかもな」

冗談混じりにそんなことまで言って、ウォッカをクイっと飲んだ。

「…明日、合コンあるから、ちょっと頑張ってみるわ」

明日は、結構いい男が揃ってるって耳にしたし、気合い入れよう。

「ふーん」

「どうせ、淳史は黙って街中歩いてるだけで、彼女見つかるんでしょ?」

涼しい顔の淳史にそう言うと、

「まあな」

と返事が返ってきた。



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