あの夜は、弱っていたから
月曜日から、金曜日に向けて気合を入れて仕事をする。夜は、金曜日の食事のために美容のケアを念入りに行う。

「大崎さん、お肌ツヤツヤね」

木曜日には、同僚にも褒められるくらい仕上がっていた。

明日は、石井さんに会うんだから、ちゃんと恋愛モードに入らなくちゃ。

約束の日、仕事終わりにデート服に着替えて、待ち合わせ場所へと向かう。

「お待たせ」

私が待ち合わせ場所へと着いて数分後、スーツ姿の石井さんが爽やかにやってきた。

「大崎さん、綺麗だね」

「あ、ありがとうございます」

石井さんに案内されて、ホテルの最上階にあるレストランへと向かう。

街中を一望できる窓際の席に案内されて、高級そうなワインがグラスに注がれた。

「おすすめのメニューにしてたけど、大丈夫だったかな?」

「はい」

すでに予約してくれていたらしく、すぐに料理が運ばれてきて、石井さんの準備の良さに驚く。

「大崎さんは、髪下ろしてると、とても大人っぽくなるんだね」

「そ、そうですか?」

そういえば、この前の合コンでは髪の毛をアップにしてたんだ。

「うん。綺麗な髪の毛だね」

石井さんの言葉に、私は照れ臭さを感じながら、ワインを口に運んだ。


< 7 / 18 >

この作品をシェア

pagetop