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夜の教室で、碧は勉強するようになった。
部活が終わったら、家族の食べ物を準備して、学校へ駆け戻る生活。それがすごく楽しいと、満面の笑みで日々を過ごす。
勉強が遅れているんじゃない。知識においては、更地のようだった。
「中学っていいな。」
「なんで?」
「みんな、同じ服着てるし。」
「同じ服がいいの?」
「わたしも、みんなといっしょの中学生みたいに見えるもん。」
「碧は中学生だよ。」
みんなみたいに、同じような服を着て、学校へ行けるっていう暮らしは、長い間、碧には贅沢すぎる夢だった。
「わたし、この中学を卒業したい。」
「しんどくないか?」
「ぜんぜん。中学って最高。」
「よし。ぜったい中学を卒業しような。」
ただ、勉強はまだまだ最高にはほど遠かった。
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