野良狼と野良少女
Prologue
【羅奈side】






“ 今晩一緒に晩御飯を食べませんか。 
40代男性 会社員 報酬:3万円 ”







「一緒にご飯食べるだけで…さ、3万円……?」




何だこのアプリ、壊れてるのかな。


300円じゃなくて?30000円?





世の中には金銭感覚のおかしい人がいっぱいいる。

それは何となく知っていたけど、こんなにもおかしいのか。





でも……






「行かないわけ、ないじゃん…」




“ この人に会う! ”

なんて書かれた陽気なボタンを、私は躊躇なくタップした。




「がんばれ、私。生きていくためにはお金がいるんだよ」




そう自分を鼓舞して、ベッドに沈んでいた体を起こす。





準備をしよう。

アプリの人に会いに行くために。




一緒にご飯を食べて、3万円いただくんだ。









――この時の私は、所謂出会い系アプリというものの闇を一切知らずにいたんだ。




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