野良狼と野良少女


「お前熱出たらそんな幼児化するの何?日常生活の反動?」


「一ノ瀬くんため息つきすぎたよ、幸せ漏れるよ」


「余計なお世話だ。ほぼ酔っぱらいみたいなもんじゃねぇか」




酒飲んだ?なんて病人に疑いの目を向けてくるこの人はどうなのさ。


私がお酒なんか飲むわけないじゃん、未成年だししかも人様のおうちで。




「はぁ…もうなんでもいいから飲め、早く」


「…怒んないで」



真顔でため息をつく一ノ瀬くんが全然似てないはずのあの人と重なる。




本気で呆れてるんじゃないか、嫌われるんじゃないか。


そんな気がして怖くなって毛布を頭まで被る。




やだ、一ノ瀬くんこわい。




「…怖がんなよ今更、別に怒ってない」


「…」


「こら、出てこい」





男の子に力で敵う訳もなく毛布が引き剥がされていく。




一ノ瀬くんのばか。


なんて言ったらさらに怒りそうだからやめておこう。




< 104 / 240 >

この作品をシェア

pagetop