野良狼と野良少女
「あほずら」
頬をつまもうが一切目を覚ます気配のない羅奈に毛布を掛けなおす。
最近の自分の行動は我ながら驚くことばかりだ。
たまたま通った繁華街でパパ活しようとしてた学年の高嶺の花。
見逃すのも後味悪いと思って助けたけど、感謝されるどころか半ギレされて。
クラスが同じになったと思えばへたくそな演技で他人のフリ。
派手な外見してるくせに、俺が自分の存在を知ってたことに驚くくらいの自己肯定感の低さ。
友達がいなくてひたすらネガティブな性格。
“ 叶野さんは高嶺の花すぎて仲良くなりたくても声掛けずらい ”
周りからそう言われていることも知らずに。
反応が面白くて最近ではほぼ毎日からかっている。
しまいには自分からキスなんかしてみたり。
本当、自分でもびっくりするくらいこいつにハマっていると思う。
「おやすみ、羅奈」
さすがにこれ以上寝顔だけ見てても変な気を起こしそうな自分がいるからそばを離れる。
起きたら覚えとけよ、お前。
なんて念を込めて羅奈の額に優しいデコピンを1つ。
これはさんざん誘惑してきて俺にエネルギーを消費させた罰だとでも思ってくれればいい。