野良狼と野良少女




「隣オオカミだね、頑張って」


「え゛っ」




その子はヒラヒラと手を振って友達の所へ戻ってしまった。




隣オオカミだねって、言ったね?


この学校の子が “ オオカミ” なんて呼ばれている人は一人しかいないわけで。



その事実を受け入れがたくて私は自席に荷物を置いたままの姿勢で石化する。





うちの学校は名簿の順番男女わかれてて、名前順の席はだいたい縦1列ずつ男女交互。


必然的に両隣が男の子になるわけだけど、どうせ関わることもあまりないから気にしていなかったのに。




オオカミが隣なんて…!

一ノ瀬旺太くんが隣だなんて…!





神様、あんまりですよ。

え?今年厄年だろって?そうだけどさ…




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