野良狼と野良少女
恋人でもなければ、好き同士でもない。
ただのクラスメイト。というか飼い主とペット?
学校の子は私が飼い主で一ノ瀬くんが猛獣なんて言ってるけど、実は逆なんだ。
私はあの夜繁華街で、おじさんから買われたペット。
“ 野良少女 ” と不良飼い主ってとこ。
みんなは全く気づいてないけど。
「お前に触れちゃいけない理由、思いつかねぇけど」
「だめだって、キスは恋人同士がすることじゃん…!」
「俺がしたいからする。お前も嫌がらない。それが全てだろ」
まっすぐな言葉にぼぼっと顔が沸騰した。
なんなのこのクールなのかでろ甘なのか分かんない男は…!!
「…っ、こういうのは!好きな人にしか言っちゃいけない、と、思う」
「じゃあ好きなんじゃないの、お前のこと」
「…っ、はぁ!?」
一ノ瀬くんはずるい。
平気でそんなことを言う。
顔色ひとつ変えずに、私の目をまっすぐ見て真剣な顔で。
「……ぅ、」
「なんて?」
「冗談でしょ、からかわないで」
「俺がそんなつまんねぇ冗談言ったことあるかよ」
ない。ないから困ってるんだ。