野良狼と野良少女
一ノ瀬くんが私のことを好き?そんなことありえないじゃん。
こちとら恋愛初心者マーク。
ついでに言えば友達すらろくにいた事がない女。
そんな私を、一ノ瀬くんが?
「……っ、ん」
「間抜け面。いい加減状況理解したら?」
ニヤリと笑い口付けをしてくる一ノ瀬くんは冷静だ。
冷静どころか私をいじめる余裕すらある。
「一ノ瀬く……」
「なに、キスされてるのに喋んないで」
降り注がられるキスの間に言葉を紡ごうにも、構わず口が塞がれる。
何も言わせて貰えないくせに何、なんて聞いてきて。
もう、体を預けることしかできない。