野良狼と野良少女
「一ノ瀬、く…もう限界」
「……顔熱、熱上がった?」
酸欠で限界を迎えた私を一ノ瀬くんが抱きとめる。
力が抜けて1人じゃまともに立ってられなくなってしまった。
待って?抱きとめてくれてキュン…じゃなくてさ。
仮にも熱がある人になんてことを…!
なんて、しっかり受け入れてたくせに文句は言えないけど。
「狼…」
「褒め言葉?」
唇を隠すように丸く座れば、今度は前髪をかき分けて額にキスする一ノ瀬くん。
この人の心臓、鋼鉄でできてるんですか
「もうだめ…!キス禁止!」
「やだね、なんだそのルール。お前の命令に従う義理はねぇ」
「なんじゃそりゃ…!うつっても知らないから!」
「うつったら看病してくれるんだろ、楽しみだな」
「勝手に決めないでよ」
なんて言い合いをしている時だった。