野良狼と野良少女

「腹減った。一葉なんか作れよ」


「えー、めんどくさぁ」


「じゃなきゃ今すぐ帰らす」


「分かったよ、旺太のオウは帝王のオウだもんね」




ちっ、なんて舌打ちをして一葉ちゃんは出ていく。

あっちはたぶん、リビングだろう。



…というか特に触れなかったけど、そもそも寝室にソファもあるなんておかしくない?


寝室だけで普通の家のリビングくらいの大きさあるし、もしかしてこの人…金持ち?




「起きんならおいで、リビングこっち」




私の顔を見て察したのか、ソファから立ち上がってリビングに連れていってくれる一ノ瀬くん。


まぁリビングまで広々空間で私の家と同じくらいかそれ以上に広かったことは言うまでもない。




ここに、1人で…?


いや私も1人だけど、あれはお父さんの家でお父さんの部屋もあるし。

この人何者なの…?




「お、起きたの叶野さん。体調平気?」

「うん、ありがとう」




なんとなく一ノ瀬くんから逃げたくて、私は2人がけソファに座るヤノくんの隣に座る。


でも、逃げれた…なんて考えは甘かったのである。




「ヤノ、どけ」

「はいはい、帝王様のお望みとあらばー」




なんてあっさり席を譲ったヤノくんにより、隣にどかっと一ノ瀬くんが座った。



その顔はちょっと不機嫌モード。


逃げようとしたのバレた…!?




< 119 / 240 >

この作品をシェア

pagetop