野良狼と野良少女

私だってずっとこうしてたい気持ちはもちろんある。



でもさ、私最近幸せすぎてるんだ。

これ以上幸せになったら罰当たりそうじゃん。




「帰ったら電話するね」


「本気で帰るの」


「うん、泊まる準備も何もしてないし。」




お風呂は借りてるとはいえ、3日連続同じ服は流石に避けたい。




こんな完璧な人が彼氏になったんだ、私だってもうちょっと、身だしなみとかちゃんとしたいじゃん。


好きな人の前で綺麗でいたい、そんな女性の本能が自分にもちゃんと備わっていたようで少し安心した。




「じゃあ、おやすみ?」


「電話すんだろ。あとでな」




結局わざわざ私の家まで送ってくれた一ノ瀬くんにわしゃわしゃ髪を撫でられる。




私はこの手が好きだ。

そしてそれと同時に、幸せだなぁって実感する。




「…ふつつかものですが、これからよろしくお願いします」


「ふっ、かてえよ。」




叶野羅奈、18歳。

ついに人生初めての彼氏が出来ました。




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