野良狼と野良少女


「…一葉ちゃん好きだよ」


「え?何?嬉しいんだけど。旺太とどっちが好き?」


「……難しい質問しないでよ」


「あははは、ごめんごめん!私も好きだぞあみぽんっ」




一ノ瀬くんと一葉ちゃんへの好きは種類が違うから比べられない。


一ノ瀬くんは恋人で、一葉ちゃんは友達なんだもん。




「わっ」




不意に隣の席の一ノ瀬くんに腕を引かれて後ろから抱きしめられる。


もちろん何よりも先に顔が熱くなった。




「はっ、離して一ノ瀬くん…!学校でくっつかないで、っていうか人前でこういうのヤダ…!」




こんなところ一ノ瀬くんの顔ファンの皆様に見られたらどう思われるか。


あなた怖いから近寄ってこないけど密かにファンいるんだよ、なんて言わないと気づいてないのかな。




「一葉とヤノだけだろ、報告したしいないに等しい」


「失礼だな」

「ほんと失礼なやつだな」


「それでも恥ずかしいからやだ!」




一ノ瀬くんの腕をすり抜けて椅子に座り直す。



変なところ積極的で強引なの、どうにかならないかな。




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