野良狼と野良少女
「…あれ」
「……んだよ」
ちっ、なんて舌打ちをして炭酸飲料を口に含む一ノ瀬くん。
「…拗ねた?」
「拗ねてねえよバカ」
「拗ねてんじゃん、ふふ」
すっかりいじけモードに入ってしまった一ノ瀬くん。
すぐ拗ねる。子供みたい。可愛い。
「やだぁ、なんかラブラブじゃん。気まずぅ」
「旺太がデレデレしてんの見るの小っ恥ずかしいな」
「クソ双子ぶっ飛ばすぞ」
「やだぁこわいこわい。あたしはあみぽんとご飯食べたいだけだから」
「チッ」
へそ曲げた大型犬発見。
私を抱きしめていた時はしっぽをぶんぶん振っていたのに、今はしっかり下がってる。
もちろん目には見えないしっぽだけど。