野良狼と野良少女
「……誰だ、その金髪は」
「……誰でも、いいでしょ。お父さんには関係ない」
キッと睨めば、お父さんの冷ややかな目と視線があう。
そして私は弱いから先に逸らしてしまう。
お父さんと面と向かって話すのはもういつぶりか忘れてしまったくらいだった。
「お前がヤンキーとつるんで夜遊びばっかしてるとしたら関係無くはないだろう。」
「…っ、ヤンキーって何?夜遊びって何?勝手に決めつけないでよ!」
「最近帰ってきていない日があるのは分かってるんだ。こいつが夜に荷物を取りに来た日も帰ってこなかったそうじゃないか」
「関係ないでしょ、ほっといてよ。ろくに帰ってきすらしないくせに」
その冷たい言葉の数々が、私と一ノ瀬くんたちとの楽しい日々を馬鹿にしているみたいに聞こえて胸糞が悪かった。
世界一居心地が悪い場所。
今すぐ逃げ出したいし、一ノ瀬くんを巻き込みたくない。
そもそもこんな場面、一ノ瀬くんに見られたくなかった。