野良狼と野良少女
「帰ってこないも何も別宅への引越しを拒否したのは羅奈だろう」
中学2年生でお母さんを亡くして、それからすぐに引っ越すと言って来たお父さん。
そんなの、はいそうですかってついて行くわけないじゃん。
入院中お母さんに会いに来ることもほとんどなかったのに、亡くなってすぐ思い出の家から引越し?
この人、本当に冷たい人なんだ
そう思った。だから私は頑なに引越しを拒否した。
それがこの生活のはじまりだった。
「…久しぶりに戻ってきたと思ったら何?嫌味言いに来たの?ならさっさと帰ってよ」
中途半端に目の前に現れたりしないで欲しかった。
私はあなたの力なんか借りたくない。
できる事ならもう実家も出て会いたくない。
学生って、本当に不自由でいいことがない。
「…やっぱり普通の公立に行かせたのは間違いだったみたいだな」
「関係ない。私の周りの人とその環境をバカにしないで」