野良狼と野良少女
「……ですよね」
俯いて顔にかかった自分の髪の毛の隙間からチラッと右隣を見ると、そこにはやはり彼の姿。
誰かが間違えて座っててくれ、と思ってたのに。
……なんて、私の○○と思ってたシリーズはどんどん失礼になっていくから辞めておこう。
「……なんか言った?」
「……へ」
頭が真っ白になってフリーズ。
今、右隣からこっちに向けて声が聞こえたよね?
結構低めの声でなんか言った?って聞こえたよね?幻聴?
「……なんか話しかけたかって、聞いてんの。カノーさん」
私叶野羅奈、どうやら初日からやらかしてしまったらしいです。