野良狼と野良少女


「下唇噛むのやめろ。クセ?血出るだろ」


「もうやだ…なんでいつも助けてくれるの」


「どうやら救世主らしいな、俺。」



笑いながら言ったその言葉

私にとって一ノ瀬くんを表すのにぴったりな言葉だ。




「本当にそうだよ、いてくれてよかった」


「こういう時だけ素直なのやめろ、はずい」




気を使ってか素なのか、お父さんのことには触れてこない。



それどころか和むような冗談を言ってくるあたり一ノ瀬くんはやっぱり救世主だ。



私にとって、ヒーローみたいな男の子。

もう何度救われたかわかったもんじゃない。




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