野良狼と野良少女


「……なにあからさまにほっとした顔してんの。」


「ソンナコトナイデス」


「目泳ぎすぎ。言っとくけどこの間みたいに煽ったらそれは例外だからな」


「この間?煽っ…え?」




なんの話しだろう。煽った?



煽ったって何?煽り運転?いや違うでしょ。

運転なんかしてない。免許もない。


そもそもあっても煽り運転できるほどの度胸はもちあわせていない。




「……よしもういい。余計なこと考えんな。」


「理不尽だね…?」


「お互い様だ、ばか」


「すぐバカっていう…」


「いやなら変なこと考えてないでさっさと風呂入ってこい。」




一ノ瀬くんはスウェットの上下を私に持たせて脱衣所への誘導した。



風呂にでも入って頭冷やして来いってことかな。


たぶん、何も聞かないし何も言わないのは一ノ瀬くんなりの優しさ。



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