野良狼と野良少女
「はい風呂湧いた。百面相タイム終了。洗剤入れといたから服入れたらボタン押して」
じゃあね、なんてピシャリと脱衣所の扉は閉められた。
案外あっさりしてるな…?
一緒に入る?なんてニヤニヤしながらからかわれるかと思った。
なんならちゃっかり洗濯機には洗剤まで…
もしや一ノ瀬くん、結構できる子なのでは…?
「はぁ…」
カッとなったとはいえ、お父さんにひどいことを言ってしまった。
もやもやする心を鎮めるように、私はゆっくりと湯船につかる。
後悔してもしょうがない。
きっと明日にはまた仕事でいなくなってるだろうし、今日だけ泊まらせてもらおう。
…どうせまた、会わなくなる。