野良狼と野良少女


――



「長かったな。飯できてるからそこ座って。」


「何から何までありがとう……え、なにこれ料理人呼んだ?」


「バカなの?」





お風呂から出るとしっかりドライヤーとバスタオルが用意されていて、洗濯機はすでに乾燥に取り掛かっていた。



そしてリビングに行けば鼻腔をくすぐるいい匂い、テーブルに並ぶフルコース並の料理。



ビーフシチューにスープ、フランスパンまで。


まるでおしゃれなレストランのようだった。





「……主婦?」


「バカなの?って何回言わせるつもり?」





失礼ながら超衝撃的だった。





一ノ瀬くんは家事スキルが専業主婦、いやプロレベル。


こんな性格だし、だらしないのかなとか勝手に思っていた過去の私を叱りたい。

そういえば熱で泊めてもらった日も寝室とリビングは綺麗に片付いていたし、洗い物や洗濯物が溜まってる様子もなかった。



まあ、料理は双子にやらせてたけど。





「アレルギーとか嫌いな食べ物は?」


「特に…いただきます」


「あそ。そりゃよかった。多かったら残していいから」




< 146 / 240 >

この作品をシェア

pagetop