野良狼と野良少女
「何拗ねてんの」
「だって…いつも私は迷惑かけてばっかりなのに、一ノ瀬くんはなにも頼ってくれないから」
「じゃあなにしたいの。なにしてくれんの。なんでもしてくれんの?」
「え?そりゃあある程度は…」
そう言って顔を上げると、どこかニヤリといたずらっ子のような笑みを浮かべた一ノ瀬くんと目が合った。
ん…?
なんでもしてあげる、は言い過ぎだったかもしれない。
と後悔するのはこのあとすぐ。
「じゃあ一緒に風呂」
「風呂……は!?いやいやいや、私もう入ったし…!ていうか一緒にはむり!」
顔を熱くしながら全力で断れば一ノ瀬くんは意地悪く口角を上げる。
性格悪っ…!!!
「は、顔真っ赤。必死だな」
「からかわないでよ…!」
「じゃあ今日隣で寝ること。これ拒否権なし。」
「……え」
「俺風呂入ってくる。じゃーね」