野良狼と野良少女
「……は?」
「……国境」
ベッドの上の構図。
私 ┃ 蛇 ┃ 一ノ瀬くん
そう、一ノ瀬くんとの間に長い長い蛇を置いたのだ。
うん、我ながら閃きの天才かもしれない。
「…ナメてんの?」
「…ひっ、今はまだお許しを…!心臓爆発する、寝れるわけない」
「…ふっ、必死かよ。別になんもしねえよ、お前が怖がるうちは」
「え…」
意外そうな顔で見れば、私の髪を一束すくう一ノ瀬くんと目があう。
何ですか、この色気。
高校生にはとてもじゃないけど見えな…
「なに?無理やり襲うような男だと思ってたわけ?」
にこっと笑う一ノ瀬くんの笑顔の上、頭から生える悪魔の角の幻が見える。
怒ってる…っ!!
「はいペナルティ。蛇撤去」
「あっ!」
悪魔は…間違えた。
一ノ瀬くんは二人の間の蛇をぽいっとベッドの下に投げ捨てた。
無念…