野良狼と野良少女

―― ―


「…ん」


「…やっと起きたの」


「んん…眩しい、まだ眠たい」





差し込む光から目を隠すようにぎゅっとしがみつく。




シトラスの香り、あたたかい体温。落ち着く。





「あんだけ襲われんのびびってたくせに、大胆になったな羅奈」





頭をわしゃわしゃ撫でられ、髪の毛先をくるくると遊ばれている気がする。


朝からなんだ、まだ眠たいのに。





……ん?





「……っ、ぇ、いち…のせく」


「おはよう、朝から大胆だけど襲っていい?」




無意識で彼の胸に埋めていた顔を上げれば、にっこり笑う悪魔と目が合った。


私、今一ノ瀬くんに思いっきり抱きついて…!





「わっ、ごめ…!」





慌てて離れて飛び起きて、ついでにベッドの端まで後ずさり。





やってしまった…!




いつも抱き枕と一緒に寝てるからか、さんざん自分が距離開けて寝たがっていたのに知らぬ間にくっついて。


いやそれどころかしっかり抱きついて寝てたなんて。




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