野良狼と野良少女


「顔赤、ゆでダコか」


「なんてことを…」


「付き合ってるんだから、普通じゃないの。まあ夜中抱きつかれて目覚ましたのに襲わなかった俺はよくできた彼氏だよな、褒めろよ」


「…っ、ごめんなさい…!」





一ノ瀬くんの目にはうっすら昨日まではなかったクマ。


私に抱きつかれて苦しくて眠れなかったのだろうか。




申し訳なさ過ぎて、大反省。


やっぱり私は人と寝るのは絶対に向いてない。寝相が悪すぎる。





「…なんか全く違うこと考えてそうだけど」


「うぇ…?」


「寝不足。お詫びはおはようのキスでいいよ」


「なっ…!!」


「寝不足。主に羅奈のせいで。」





二回も同じことを言ってにこ、と笑う一ノ瀬くんの目はやっぱり笑ってない。


怒ってますか…?とは聞けなかった。




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