野良狼と野良少女
「……そ。」
そしてまた彼が動く気配がして、次に右に視線を向けた時にはもうそこにはいなかった。
神出鬼没だな、油断ならない。
なんて、人を野生のクマのように扱ってることに関しては心の中ということに免じて許して欲しい。
「ねぇ、今の見た?オオカミと叶野さん話してたよ」
「うそ〜!やっぱ不思議な人同士通づるものがあるんじゃない?」
「そういうことか〜」
なんてクラスの子の会話が聞こえたけど、否定したい気持ちを堪えて聞かないふりをすることにした。
どうやら人見知りをこじらせただけの私はやはり、ひとりが好きな不思議ちゃんだと思われてるみたいだ。
…7割は否定しないけど。
一人は嫌いじゃない。むしろ落ち着くから好きなほうだ。
友達は一人くらい欲しいけど。