野良狼と野良少女


「どっかの誰かさんも黒髪の方が好きそうだったもんな」


「…え?それ私?そんなこと言ったっけ」


「染めないの?って言ってきたろ。それに昨日テレビ出てた黒髪の俳優見てかっこいいって言ってたし」


「え、そんなこと気にしてたの?意外すぎるんだけど…」


「たまたま。元々染めようかっていう気持ちはあったし」





一ノ瀬くんの行動に少なからず自分が関わっているのはやっぱり嬉しい。




私が好きなら、ってお気に入りの金髪も黒にしてくれちゃうなんて。


まあふわふわの金髪も好きだったけど、なんて本人には言わないでおこう。





「一ノ瀬くんは?どんな髪型が好き?」


「前はショート派だったけど羅奈の髪好きだからいまのままでいいよ」


「…何その100点の模範解答」


「ふは、本心な。ふわふわしてるし触り心地いい」





たしかに一ノ瀬くんはよく私の髪をくしゃくしゃしたり指に絡めたりしている。



触り心地いいか…ちょっと、いや結構嬉しいかもしれない。


今日はヘアトリートメントもしてから寝よう。




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