野良狼と野良少女
「相馬さん、私やっぱり…」
「だめ。旺太は羅奈ちゃんに怒ってるわけでも呆れてる訳でもないから。目的果たすまで帰んないよ」
帰ります、ということすらも許されなかった。
この人はなぜ私の心を先読みできるのだろう。
「壮馬、強引すぎない?かわいそうじゃない。」
「じゃあリサが俺から守ったげてね〜」
「もう…」
ごめんね、なんてふわりと笑うリサさん。
これまた超絶美人が現れた。
一ノ瀬くんの周りには美形しかいないの?
「私田村梨沙(たむら りさ)。壮馬と高校の同級生だから一応羅奈ちゃんたちの高校のOG。
リサでいいよ!羅奈ちゃんって呼ぶね」
「…よ、よろしくお願いします」
華やかなリサさんの周りには花が飛んで見える。
なんというか、モデルさんのようなオーラのある人だと思った。
「リサと羅奈ちゃん何飲む?俺レモンサワー」
「私も。羅奈ちゃんは?」
「えと…烏龍茶で」
リサさんがオーダーを取りまとめて、呼び鈴を鳴らす。
一ノ瀬くんが来たらどうしよう、なんて考えていたけど、来たのは女の人だった。