野良狼と野良少女
「失礼します、ご注文お伺いします!」
「…っ」
この人…
キラキラの笑顔を浮かべた可愛らしい顔。
名札の “ 佐々木 愛美莉(ささき えみり) ” という文字。
直感でピンときた。多分、この人が…
「あの子、エミリって子。」
「…」
隣の壮馬さんからそう耳元でコソッと教えられた。
たしかに、超可愛いって言っていたのが納得の顔だった
小さな顔に大きな目、長いまつ毛に小さな口。
可愛い。女の私でもそう思った。
「羅奈ちゃん、飲み物来たよ」
「あ、ありがとうございます…」
「「かんぱーい!」」
みんなでグラスで乾杯を交わし、運ばれてきたご飯を食べる。
祥太郎くんや壮馬さんが私にも話を振ってくれたけど…正直全力で楽しむことは出来なかった。