野良狼と野良少女
ガチャ…
「羅奈…どこにいんの。って…は、?泣いてんの?」
ソファーでうずくまっていたら一ノ瀬くんが入ってきた。
リビングの電気がつけられてむなしくも私の姿がさらされる。
でもお酒が抜けきらず感情が爆発している私の涙が止まる訳もなく、一ノ瀬くんは放心状態。
生憎説明できるほどの冷静さを持ち合わせてはいない。
「やだ。帰って…今は一ノ瀬くんと話したくない。」
「…羅奈、何があったの。壮馬さんになんかされたの?」
「違う…!壮馬さんは何もしてない。むしろ介抱してくれて、家まで送ってくれて、連絡もくれて…」
「…は?何。そんなに仲良くなったの」
「一ノ瀬くんに関係ない」
むきになって言葉が止まらない。
あの子は誰なの、とか
寂しかったとか、もっと言うことはたくさんあったはずなのに。
「関係なくないだろ。あの人は……」
「悪く言わないで、私にとっては悪い人じゃない」
こんな事言えば、喧嘩になってしまうことなんて考えればわかるはずなのに。
今の私には、残念ながら我慢というものはできないみたいだ。