野良狼と野良少女
たった一人の
【羅奈side】
「…ん」
次に目が覚めたのはまだ空が真っ暗な深夜だった。
気分の悪さと頭の痛さで、お酒を飲んでしまったことは夢じゃなかったとガッカリする。
ということは、一ノ瀬くんと気まずくなったのも彼がうちに来たことも…
「あれ…」
ベッドで眠っていた私、その上にしっかりとかかる毛布。
でも、どこを見回しても一ノ瀬くんの気配はない。
帰ってしまったのだろう。
きっと、先輩とバイト先に来た挙句お酒を飲んで寝て、なんてした私に呆れてしまったのだ。
いつもの一ノ瀬くんだったら、きっと目が覚めるまで一緒にいてくれるだろうから。
それに、記憶は曖昧だけど眠る前に『ここにいるから。』っていっていた気がする。