野良狼と野良少女


胸がもやもやして、黒い感情が湧き上がってくる。




浮気、してるの?




いや…一ノ瀬くんが、するわけないじゃん

私の事、好きって言ってくれた。




昨日だってうちにきてくれて、水を飲ませるためとはいえキスだってした。


なのに…




『もしもし、羅奈ちゃん?大丈夫?』


「壮馬、さ…」





涙で視界がほぼゼロで、鳴ったスマホ。


一ノ瀬くんなんじゃないかと心のどこかで期待してしまって出た着信は再び壮馬さんだった。





『ごめんねあんな写真送って。でも来る者拒まずだった旺太が彼女なんて、なんか変だと思ってたんだよねぇ』


「……っ」





来る者拒まずだった旺太、なんて、初めて聞いた。



たしかに昔ヤンチャしてたって言ってたけど、まさか女性絡みでもなんてことは考えてなかった。






ううん、考えないようにしてたのかもしれない。


あんなにかっこよくて、ヤンチャしてたなら女絡みが0なんてありえないのに。




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