野良狼と野良少女
「君がアミちゃん?」
「…っ、マツダさんですか?」
「そうだよ。想像より可愛い子が来てラッキーだなぁ。さぁ、行こうか。なんでもアミちゃんの好きなものを食べよう。」
午後10時、繁華街の駅前で待ち合わせした相手の方はおそらく40代後半くらいのおじさん。
よれよれのシャツにボサボサの髪、汗ばんだ肌。
申し訳ないけど清潔感というものは感じられない。
アプリに登録したアミというニックネームで私を呼ぶ声に、失礼ながら鳥肌が立ってしまう。
これは所謂、パパ活というものなのだろう。
分かってる、無知な私でもそれくらい。
この行為があまり良くないことだってことも…
でも私には、もうこうするしか道が残ってないんだよ。
「でさぁ、職場の上司が――」
居酒屋に入ってご飯を注文したものの、おじさんの話は正直全くおもしろいものではなかった。
注文した枝豆も、食べ残した皮はテーブルに直置き。
食べる時の咀嚼音もクチャクチャとうるさい。
気分は最悪。
正直今すぐ逃げ出したいくらい…