野良狼と野良少女
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「もうすぐ1年経つね」
「ああ、懐かしいな。真面目で高嶺の花だった羅奈と繁華街で出会った日」
「…そんなふうに思われてたの?私」
「うん、でもパパ活なんてしてるもんだから別人かと思った」
「あはは…ちょっと笑えない」
あの日助けられた道を、今では2人で手を繋いで歩いている。
人生って、本当に何が起こるか分からないんだな。
数々の武勇伝をもちみんなに恐がられていた一ノ瀬くんと、友達ゼロ人万年ひとりぼっちの私。
きっと誰も想像しなかった組み合わせ。
もちろん、私が1番想像してなかったんだけどね。
「あの日旺太とあの場所で会ってなければ私の高校生活は最後まで真っ白だったよ」
「俺の存在は関係ないだろ。この1年を楽しくしたのは羅奈自身だよ」
「いやいや、だって助けてくれなかったら今頃私は裏社会に売られて…」
「漫画の読みすぎ」
「そうだよね、私に売り飛ばされるほどの価値なかった」
「は?いい加減そのゴミカスみたいな自己肯定感どうにかしろって何回言わせる気?」